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法定利率内の取引の場合にメリットはありますか。

借入金自体は減らない。月額,支払総額を減らす点にメリットがある
低利率の借入れは月の返済額が増える場合がある

月額,支払総額を減らす

銀行系のカードローンやショッピング取引その他の法定利率内の取引については任意整理によっても残貸付高は減りません。

そのため,現在の残高を単純に分割払いとし,分割払い中の利息の免除を受ける限度で任意整理のメリットがあるに止まります。元本を基準として単純に分割払いとするとので整理しないで利息を支払い続ける場合よりも支払総額が少なくなります。

例えば2020年1月1日時点で年利18%の50万円の借入がある場合,毎月1万円の元利均等払いで完済まで支払う場合と,2020年1月1日時点の50万円の借入金を任意整理で60回で完済する場合の支払総額を比較すると次の通りとなります。

  元本 利息 支払総額 回数 月額
契約通り 500,000 430,326 930,326 93 10,000
任意整理 500,000 0 500,000 60 8,300

和解までの利息・損害金を付す必要がある場合があります。

40万円以上支払総額が少なくなることが分かります。月額も少なくなりますが,返済回数が契約よりも短い期間となるため大きくは減りません。

銀行からの借入れや2007年以降の貸金業者からの借入がほとんどの場合,月額が劇的に減ることは期待できず,最大のメリットは支払総額を減らすことができるところにあります,

なお,銀行系カードローンはほとんどの場合に他の貸金業者が保証会社となっているため,任意整理に着手すると債権が保証会社である貸金業者へ移転します。保証会社である貸金業者に過払い金がある場合には,貸金業者の過払い金と移転した債権との差引で処理されることになります。

任意整理すると月の支払額が多くなる場合がある

上記の通り,法定利率内の取引でも任意整理では完済までの支払総額を減らすことができますが,契約上の利率がかなり低い場合,任意整理をすると最高返済回数が原則として60回になることから月の返済額がかえって増える場合があります。

利率が非常に低く設定されている取引の多くは借入額が高額の場合です。

例えば2020年1月1日時点で年利10%の100万円の借入がある場合,毎月1万円の元利均等払いで完済まで支払う場合と,2020年1月1日時点の100万円の借入金を任意整理で60回で完済する場合の支払総額を比較すると次の通りとなります。支払総額は110万円以上少なくなりますが,契約よりも短期間で返済しなければならないので月の支払額は多くなります。

  元本 利息 支払総額 回数 月額
契約通り 1,000,000 1,157,634 2,157,634 216 10,000
任意整理 1,000,000 0円 1,000,000 60 16,600

和解までの利息・損害金を付す必要がある場合があります。

任意整理を検討している方は,毎月の返済に困難を感じている方です。そのため,任意整理でかえって月額が増えるのでは意味がありません。かといって現状でも返済が困難となると破産,民事再生を検討することが必要になります。