通常「ブラックリスト」というと,金融会社間で共有される貸付を行ってはいけない人のリストという意味で使用されると思います。しかし,このような「ブラックリスト」というものは存在しません。
金融会社は個人信用情報機関の会員になっており,個人信用情報機関が管理する情報に債務の整理行為などの情報が登録されると,その情報提供を受けた金融会社が貸付けしなかったり,貸付額を低くしたりすることから,金融会社が共有するブラックリストが存在するかのように思われているに過ぎません。
個人信用情報機関は,金融会社を会員とし,金融会社から報告された個人信用情報を管理し,金融会社からの照会に応じて信用情報を提供することを主な業務とする機関です。個人信用情報機関は,個人の客観的事実の情報を会員に提供するに止まり,信用情報の評価や与信判断はしません。提供された信用情報に基づいて貸付を行うかどうかの判断は提供を受けた金融会社が自社の審査基準に従って独自に判断します。
例えば,5年前に自己破産した個人について,金融会社の照会に対して個人信用情報機関が提供する情報は,自己破産した事実と手続開始日の情報です。自己破産して5年しか経っていないから貸付はしないと判断するか,自己破産して5年経っているから貸し付けても良いと判断するかは提供を受けたその金融会社の判断に委ねられます。
また,債務整理したことや滞納したことなどの事故情報だけでなく,どこから,いつ,いくら借りているかという情報自体が登録されているため,事故情報が載っていなくても,複数の貸金業者から多額の借入をしているという事実だけで,融資審査が通らない場合があります。
リンク:JICC日本信用情報機構(指定信用情報機関)/CIC(指定信用情報機関)