旧クオークローン(現クラヴィス)からプロミスに債権譲渡され,さらに旧ネオラインキャピタル(現クロスシード)に債権譲渡された取引については,プロミスへの支払い期間中にプロミスに過払金が発生している場合があります。クラヴィス・クロスシードはいずれも破産し満足な配当は期待できません。
クロスシードの配当率は,僅か,「2.15197%」となりました(H27.7.21時点)。
しかし,プロミスに発生している過払金は,プロミスから回収できます。
この機会に,プロミスに請求できる過払金の有無,金額を確認ましょう。
クラヴィスの破産手続とも関係するので「クラヴィスの破産決定通知が届いたら」も合わせてご覧下さい。
この機会に,プロミスへ請求できる過払金の有無を確認を!
クロスシード(旧ネオラインキャピタル)の破産管財人から破産決定通知書が届いた方で,もともとはクラヴィス(旧クオークローン・旧りっち・旧タンポート)と取引していたところ,プロミスへ債権譲渡され,さらにネオランキャピタル(現クロスシード)へ債権譲渡された方はいませんか?
クラヴィス(旧りっち,旧クオークローン,旧タンポート)→プロミス→ネオラインキャピタル(現クロシード)と取引が移転されてきた方は,プロミスへ過払金返還請求できる場合があります。
クラヴィス・クロスシードのいずれも破産手続が開始しているので,法律上は両社に過払金が発生していても実際に返還を受けることは期待できません。そのため,一連の取引のうち,十分な回収ができるプロミスについては,発生している過払金はすべて回収しておくことが重要です。
債権譲渡事案は,主に以下のパターンに分けることができ,1と2の場合にプロミスへ返還請求できる過払金が発生します。
なお,図はイメージです。実際の各社に対する債務・過払金の大小を表すものではありません。
- クラヴィスからプロミスへ債権譲渡された時点で実際には過払状態であった場合
クロシードへ債権譲渡されるまでにプロミスへ支払った金額の全額がプロミスへ返還請求できる過払金となります。クラヴィスとの取引期間が長期に及んでいた場合に多く見られます。
クラヴィス・プロミス・クロスシードそれぞれに請求できる過払金がある状態になります。
- クラヴィスからプロミスへ債権譲渡された時点では過払状態ではなかったが,プロミスへ返済中に実際には過払状態となっていた場合
クロシードへ債権譲渡されるまでにプロミスへ支払った金額の一部がプロミスへ返還請求できる過払金となります。クラヴィスとの取引期間がある程度長かった場合に見られます。
プロミスとクロスシード,それぞれに請求できる過払金がある状態になります。
クラヴィスへ請求できる過払金はありません。
- クラヴィスからプロミスへ債権譲渡された時点では過払い状態ではなく,さらに,クロスシードへ債権譲渡された時点でも過払い状態になっていなかった場合
プロミスへ請求できる過払金は発生しません。クラヴィスとの取引が短かった場合に多く見られます。
クロスシードのみに,請求できる過払金が発生します。
クラヴィス・プロミスには請求できる過払金は発生しません。
プロミスとの取引期間
= 平成19年(2007年)11月~平成21年(2009年)3月31日 =
プロミスは,平成19年(2007年)5月,組織再編計画として,当時子会社だったクラヴィス(当時クオークローン)を廃業にし,その取引をすべてプロミスとの取引へ移転することを計画しました。そこで,まず,プロミスは,クオークローンの顧客に対して,プロミスとの契約に切り替えるよう案内をしました。多くの顧客がこれに応じてプロミスとの取引に切り替えました。これが切替事案です。
しかし,プロミスが計画を完了させたい平成19年10月頃までに,なおも,この切替手続に応じなかった顧客が多くいました。そこで,プロミスは,組織再編計画実現のため,切替手続に応じなかった顧客の取引を,すべてプロミスに債権譲渡させました(債権譲渡事案)。
ところが,プロミスは,クラヴィスの元顧客らからの過払金返還請求に手を焼くようになり,その打開策として,平成21年4月1日に,子会社クラヴィスを1円でクロスシードへ売却すると共に,債権譲渡事案の債権をクロスシードへ譲渡しました。これが今回,問題となるプロミスから債権譲渡された取引です。
よって,債権譲渡事案において,プロミスに過払金が発生しうる期間は,平成19年11月(場合により10月)から平成21年3月31日までとなります。おおよそ17ヶ月になります。
クオークローンからプロミスへの債権譲渡時にすでに過払い状態であった場合は,プロミスへ支払った全額が過払金になるので,例えば,毎月1万5000円を支払っていたのであれば,17ヶ月で25万5000円の過払金になるとおおよその予想を立てることができます。これに返還日までの年5%の過払金利息が付きます。
実際の例で説明すると,プロミスとの取引中(H19.11~H21.3)に発生した過払金が27万円で,返還日(H26.1.20)までの過払金利息を付して34万3904円を回収しています。同じく,発生した過払金が19万1650円で,返還日(H26.1.23)までの過払金利息を付して24万4158円を回収しています。
無視できる少額な過払金ではないでしょう。また,クロスシードを矢面に立たせて,自らは過払金返還義務を免れようというプロミスの目論見は阻止する必要があります。プロミスは,メガバンク系の貸金業者で法律上返還義務のある金額は全て回収できます。この機会に,確実に確認し,しっかり回収しておく必要があります。
なお,切替事案は,債権譲渡事案と異なる法律関係にあるので,クラヴィスの破産手続に関する記述を参照して下さい(「クラヴィスから破産開始決定通知が届いたら」)。
プロミスへ取引履歴請求を
プロミスへ請求できる過払金があるか否かは,取引履歴がないと判断できません。
現在,プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)がクラヴィス破産管財人から譲渡取引・切替取引について,クラヴィスとの取引部分の履歴を引き継いでいます。
そのため,プロミスへ請求できる金額の有無を確認するため,プロミスへ取引履歴の開示を請求することが重要です。
プロミスへの開示窓口は,クラヴィス破産管財人が公開していますので,そちらを参照されて下さい。(クラヴィス破産管財人室のウェブサイト:破産手続に関するご質問)
切替事案・債権譲渡事案についてプロミスへの過払金返還請求のご相談・ご依頼,承ります。
クラヴィスの破産手続とも関係するため,「クラヴィスから破産開始決定通知が届いたら」を合わせてご覧下さい。
依頼・相談は,問題意識のある専門家へ
クロスシードは破産してしまったので,あとは破産管財人に頑張ってもらって,少しでも多い配当を待つしかありません。そのため,クロスシードの破産手続については専門家に依頼してもしなくても結果は変わりません。
大切なのは,発生している過払金と利息全部を回収できるプロミスに請求できる過払金を放置してそのまま消滅時効にかからせてしまわないことです。
依頼を受けた専門家は,クロスシードについては,旧クオークローン(現クラヴィス)→プロミス→クロスシードの一連の取引履歴をすべて入手して,プロミスへ請求できる金額の有無を確認し,その額があればプロミスへ請求することが必要です。
この問題意識を欠く専門家に依頼すると,プロミスに請求できる過払金を回収し損ねるおそれがあるので注意が必要です。
この問題意識を欠いた「クロスシード破産の相談」は,結局,相談者が抱えている全く関係ない貸金業者の過払金の掘り起こしを狙っただけのものになります。クロスシードについて専門家に相談するときは,プロミスに請求できる過払金の調査・回収をしてもらえるか,必ず,確認して下さい。