亡くなった親(故人)の過払金を返還請求することはできますか
相続人であれば過払金返還請求できます。
過払金相続事案の実績豊富な当事務所へご相談下さい。
亡くなった方(被相続人)の過払金は相続財産となるので相続人が返還請求することはできます。当事務所では,多数の相続案件を手がけてきましたので,相続人が請求する場合の問題点・注意点を熟知しています。心当たりのある方は,遠慮なくご相談下さい。
故人の過払金,お調べします。
調査は無料です。
当事務所が故人が借金していた業者から取引履歴を取り寄せて過払金の有無を調査します。
調査は無料。調査は相続人の1人からのご依頼でできます。
まずは,メール相談から,お気軽にご利用ください。
相続事案なら当事務所へ
過払金が高額になる傾向
相続事案の多くでは,亡くなられた方は親の世代(高齢者)です。そのため,取引期間が20年,30年と非常に長期間の場合が多く,80年代,90年代の制限超過利率が54.75%,40.004%という超高金利の時期からの取引の場合も少なくありません。また,年代の高い人はまじめに支払を続ける傾向にあり,発生している過払金額が非常に高額になる傾向にあります。
だから弁護士へ
過払金の額が140万円を超えることが多くなるため扱える金額に制限のない弁護士への依頼に適してます。また,訴訟による回収が有利です。当事務所は故人が残してくれた大切な財産の全額回収を実践しています。
過払金利息が多くなる傾向
相続事案では,相続人が過払金のことを知ったときには,すでに被相続人が亡くなって数年経っていることは少なくありません。そのため多額の過払金利息が発生していることが少なくありません。過払金には年5%の過払金利息が付きます。例えば,9年前に200万円の過払金が発生していれば,45%の利息が付き290万円を回収できます。
推定計算が必要になる例が多い
故人が若い頃からの90年代前半より前からの古い取引であることは少なくありません。しかし,貸金業者によっては,古い時期の取引履歴を保存していないことがあります(例えば,ニコスのNICOSカード等は,平成7年1月以降の履歴しか保存されていません)。そのため,古い資料や断片的な資料から履歴保存期間外の期間の取引を推定して請求する必要が生じる例が多く見られます。
当事務所は推定計算を積極的に実践
当事務所は,古い持期の各貸金業者の契約条件など情報収集に努め,可能な限り合理的な推定をし,多くの実績を残してきました。古い時期からの取引である可能性があれば,推定計算におも対応できる当事務所へご相談下さい。
難しい争点が存在することが多い
取引期間が長くなればなるほど,中断期間の存在・契約切替・貸金業者の吸収合併・債権譲渡・貸付停止措置・債務弁済承認・和解契約など難しい争点を発生させる事実が介在しやすくなります。相続事案は取引期間が非常に長い事案が多いため難しい争点が発生する場合が多く見られます。そして,当時の事情を本人から聞くことができないという相続事案特有の問題が生じます。
だから裁判実績豊富な当事務所へ
当事務所は,訴訟を積極的に利用した回収作業を貫き,過払金返還請求における難しい各種争点で勝訴判決を得てきました。相続事案は,どんな争点が発生するか分かりません。裁判実績豊富な当事務所へご相談下さい。
相続人として請求する場合,以下の点にご注意下さい。
- 過払金返還請求は金銭債権のため,被相続人の死亡により各相続人が相続分に応じて当然に分割取得します。そのため,他の相続人が相続放棄しない場合には,各相続人が相続分割合に応じて請求するか,遺産分割又は債権譲渡により相続人が他の相続人から一部の相続人が取得して請求するか,いずれかになります。なお,取引履歴の開示請求は各相続人が単独でできます。
- 相続人の過払金返還請求(相続財産)を行使すると相続についての単純承認したことになり,原則として,相続放棄・限定承認ができなくなります。そのため他に多額の相続債務がある場合には注意が必要です。
- 未完済で被相続人が亡くなっている場合は,過払状態となっているキャッシング取引のほかに法定利率内の取引(ショッピング残高や保証の求償債権等)の有無を確認しておく必要があります。
- 対象の業者とご自身が取引中の場合,相続分についての請求であることを明示しないと相続した過払い金とご自身の借金との差し引きで解決されるおそれがあります。この場合,ご自身の債務の整理と扱われるリスクがあります。
請求の方法
単独で請求 | |
説明 | 相続人がそれぞれ個別に請求する方法 |
メリット | 単独で請求できる 相続人間での精算が不要 |
デメリット | 相続分しか請求できない 1回的解決ができない 全体の時効は中断しない |
全員で請求 | |
説明 | 相続人が全員で請求する方法(単独請求を一緒にやるのと同じ) |
メリット | 1回で全額を回収できる 相続人間での精算が不要 |
デメリット | 相続人全員の協力が必要 |
1人が取得して請求 | |
説明 | 相続人の1人が遺産分割協議等で全部取得して請求する方法 |
メリット | 1回で全額を回収できる |
デメリット | 他の相続人の協力が必要 (相続人間で精算が必要) |
当事務所は,亡くなった方の相続人からのご依頼で過払金を回収した実績が多数ありますが,問題点を少なくし1回的解決を図る点から全員で請求するか,1人が請求できるように相続人間で話し合うことをお勧めしています。
相続財産の過払金と相続財産ではない過払金
基本
相続財産になる過払金は,原則として,被相続人が亡くなった時点ですでに発生していた過払金です。 超過利率での返済を含む完済取引や,故人が亡くなったとき未完済でも,法定利息計算上,実際には債務はなく過払状態だった場合を指します。
例えば,相続人がABの2人,相続分各2分の1の場合で相続開始時(被相続人の死亡時)にすでに過払金が100万円発生していた場合,A,Bはそれぞれ2分の1の50万円を請求することができます。この割合を変える場合(Aが全部を請求する場合など)は,遺産部活協議等が必要になります。
過払金 100万 |
発生時期 | 財産の性質 | 帰属 | それぞれが請求できる額 |
100万 | 相続開始時点で発生していた過払金 | 相続財産 | A 50万 |
A 50万 |
B 50万 |
B 50万 |
相続開始後に相続財産で返済して発生した過払金もある場合
口座引落の支払いの場合,相続開始後も毎月口座から引落がされ,その引落により相続開始後も過払金が発生し続ける場合があります(銀行口座の凍結をしていない場合,このようなことが起きます)。
この場合,各相続人が相続分の割合で相続している相続財産(預金)で支払ったことになるので,相続開始時に発生していた過払金とその後の支払いで発生した過払金の全体を相続財産と捉えることができるので,基本の場合と同様に扱うことができます。
例えば,相続人がABの2人,相続分各2分の1の場合で相続開始時(被相続人の死亡時)にすでに過払金が50万円発生していたところ,相続開始後も相続財産(預金)から引落が続けれたため相続開始後の支払いで更に50万円の過払金が発生した場合,A,Bはそれぞれ2分の1の50万円を請求することができます。
過払金 100万 |
発生時期 | 財産の性質 | 帰属 | それぞれが請求できる額 |
50万 | 相続開始後に相続財産で支払って発生した過払金 | 相続財産 | A 50万 |
A 50万 |
50万 | 相続開始時点で発生していた過払金 | B 50万 |
B 50万 |
※上表は,相続開始前の過払金がB,相続開始後の過払金がAに帰属するという意味ではありません。総額100万円の2分の1の額がA,Bに帰属するという意味です。
相続開始後に相続人の固有財産での支払いで発生した過払金もある場合
被相続人が亡くなった後,貸金業者から督促状が届いて,慌てて相続人の1人が支払うことはよくあります。
実際には相続開始時に債務はなく過払状態であった場合,相続開始後の支払いで更に過払金が発生することになります。
この場合,相続発生時に発生していた過払金は相続財産になり,相続発生後に発生した過払金は固有財産で支払った相続人の財産になります。
例えば,相続人がABの2人,相続分各2分の1の場合で相続開始時(被相続人の死亡時)にすでに過払金が100万円発生していたところ,相続開始後にAが固有財産で支払って更に過払金50万円発生した場合,相続財産100万円はA,Bが各2分の1(各50万円)を取得し,相続開始後に発生した過払金50万円はAに帰属しますので,結果,Aが100万円,Bが50万円を請求できることになります。
過払金 150万 |
発生時期 | 財産の性質 | 帰属 | それぞれが請求できる額 |
50万 | 相続開始後にAの財産で支払って発生した過払金 | A固有の財産 | A 50万 |
A 100万 |
100万 | 相続開始時点で発生していた過払金 | 相続財産 | A 50万 |
|
B 50万 |
B 50万 |
相続開始時に過払状態ではなく,相続開始後に相続人の支払いで過払金が発生した場合
相続開始時には過払状態ではなかったとしても,相続開始後の相続人の固有財産での支払いで過払金が発生する場合があります。
例えば,相続開始時に契約上の貸金残高100万円が残っていたので,相続人の1人が固有財産で全額返済したとします。後で調べてみると実際には法定利率で計算すると相続開始時の法的に有効な債務額は50万円であった場合,相続人は50万円多く支払ったことになるので過払金50万円が発生します。
この場合,発生した過払金は,すべて固有の財産で支払った相続人に帰属することになりので,その相続人が単独で全部を請求することができることになります。(ただし,その相続人が支払ったことの立証は必要です)。
例えば,相続人がABの2人,相続分各2分の1の場合で相続開始時(被相続人の死亡時)には過払金は発生していなかったところ,相続開始後にAが固有財産で支払って過払金50万円発生した場合,相続財産はなく,相続開始後に発生した過払金50万円はAに帰属しますので,結果,Bに請求できる額はなく,Aが50万円を請求できることになります。
なお,亡くなった後も引き続き,故人の引落口座から引き落とされていたということもよくあります。この場合は相続財産で支払われているので,相続財産で支払った場合と同様に扱えば足ります。
過払金 50万 |
発生時期 | 財産の性質 | 帰属 | それぞれが請求できる額 |
50万 | 相続開始後にAの財産で支払って発生した過払金 | A固有の財産 | A 50万 |
A 50万 |
0円 | 相続開始時点で発生していた過払金 | 相続財産なし | A 0円 |
|
B 0円 |
B 0円 |
相続人が配偶者と未成年の子の場合
過払金は,それが帰属する本人のみが請求できますが,相続人が配偶者(夫又は妻)と未成年の子の場合は,子の親権者である配偶者は,子の法定代理人として,自分の相続分だけでなく,子の相続分も請求することができます(ただし,回収した子の分は子の財産になります)。弁護士には,自分の分は本人として,子の分は法定代理人として依頼し訴訟も出来ます。
ここで,配偶者が子が相続した過払金も取得した上で請求する場合は,子との間で遺産分割協議を成立させる必要がありますが,利益相反が生じるため,子の法定代理人として自分との間に遺産分割協議を成立させることはできず,家庭裁判所に子の特別代理人の選任を申立てて,選任された特別代理人との間で遺産分割協議を成立させる必要が生じます。
子の法定代理人として法定相続分どおりに請求する場合は,利益相反は生じないので,特別代理人を選任する必要はありませんので,子の法定代理人として相続分通りに請求回収した方が簡易で済みます。
他の相続人の協力を得られない場合
被相続人の取引の過払金を全部回収するには,相続人全員の協力が必要ですが,事情によっては,他の相続人の協力を得られない場合があります。そのような場合は,自分の相続分だけを請求して回収することができるに止まります。言い替えれば,他の相続人の協力がなくても自分の相続分は請求して回収できることになります。
相続放棄も選択肢に考えている場合
貸金業者などからの借入しかなく,他に相続財産がない場合,「債務よりも多い過払金があれば相続したいが,債務の方が多いなら相続放棄したい。」と考える方は多くいます。
この場合,まず取引履歴開示請求により,法的に有効な債務の額,過払金の有無と額を確認してから,相続するか,放棄するかを決定することができます。
ただし,相続放棄には期限があり,原則として,「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。
しかし,取引履歴開示請求をしてから開示されるまで,業者によっては,数ヶ月かかりますので,過払金がなかったことが分かったときには3ヶ月経ってしまうおそれがあります。
そこで,調査完了までに3ヶ月が経ってしまう恐れがある場合には,家庭裁判所に熟慮期間の伸長を請求し,さらに3ヶ月延ばしてもらっておく必要があります。
熟慮期間の慎重の手続は,各地の家庭裁判所で定型書式を用意してあり,難しい手続ではないので,相続放棄も選択肢に考えている場合は,熟慮期間の伸長の手続をしておくことをお勧めします。
必要な資料-相続人による取得の証明が必要
請求するためには,請求する者が過払金返還請求を相続により取得したことを証明することが必要です。遺産分割協議・相続放棄等の有無,請求方法により,必要な書類が異なります。ただし,取引履歴を入手する調査の段階ではご自身が相続人であることが分かる戸籍のみで足ります。
1.法定相続人の範囲を明らかにする戸籍類(戸籍・除籍・改製原戸籍)
請求方法如何にかかわらず,法定相続人の範囲を明らかにする以下の戸籍類が不可欠です。
- 亡くなった方(被相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍
- 法定相続人であることが分かる戸籍
相続人の範囲を確定するに必要な範囲でご親族の戸籍類が必要になります。当事務所では戸籍類の入手も承っています(有料)。
なお,法務局に申し出て発行された「法定相続情報一覧図」がある場合は,上記戸籍に代えることができます。
2.法定相続分と異なる割合での取得を証明する資料
法定相続分に応じた請求(単独又は全員で請求)をする場合には,上記「1.法定相続人の範囲を明らかにする戸籍類」のみで足ります。これに対し,法定相続分と異なる請求をする場合,法定相続分と異なる割合での取得を証明する以下の資料が必要になります。
(1) 遺産分割協議が成立している場合
遺産分割協議で過払金を取得した場合や,不動産などの相続財産について遺産分割をした際に「その他の財産は○○が取得する」などと記載されている場合は,その遺産分割協議書が必要です。
未だ遺産分割協議をしていない場合は,過払金について遺産分割協議書を作成して相続人の1人が全部を取得することができます。遺産分割協議書の作成も承ります。
(2) 他の相続人から債権譲渡を受けた場合
過払金は遺産分割協議によらなくとも債権譲渡により取得することもできます。
遺産分割未了の場合は遺産分割協議書の作成で足りますが,遺産分割協議書で「その他の財産はAが取得する」と記載されている場合にBが請求するには,BがAから債権譲渡を受ける必要があります。
また,相続放棄をした人が譲渡を受けることもできます。
なお,債権譲渡(遺産分割協議)による場合,譲渡人(他の相続人)から対象貸金業者への債権譲渡通知が必要となります。債権譲渡合意書の作成・債権譲渡通知の作成・送付も承ります(有料)
(3) 相続放棄等,他の相続人が相続権を失っている場合
他の法定相続人が相続放棄等により相続権を失っている場合は,それを証明する資料が必要です。多くは相続放棄の場合ですが,他の法定相続人が相続放棄している場合は,相続放棄受理証明書を家庭裁判所に発行してもらう必要があります。相続放棄受理証明書等の入手も承ります(有料)。
(4) 遺言書に基づく場合
例えば,遺言書で被相続人の全財産を相続した場合など,遺言書に基づく請求の場合は,遺言書が必要になります。
実際の手順
複数の相続人がいる場合,いきなり全員の賛同を得て請求するのは難しいと思います。
過払金の有無の調査は,相続人の1人でもできるので,まずは過払金の調査をご依頼下さい。
※相続放棄した方は,相続人ではないので,相続放棄をしていない方に限ります。
着手金は不要です。過払金がなかったり,返還請求に着手しないことになっても費用は発生しません。
各社から故人の取引の履歴を取りよせて過払金の額を把握した上で,他の相続人に一緒に請求するか1人にまとめて請求するか相談することをお勧めします。ただし,消滅時効が差し迫っている場合は,取引履歴取り寄せている内に消滅時効が成立するおそれがあるので,対応を変える必要があります。。
相続関係がからむ事案は,種々問題が生じるため,あらゆる手続段階を扱うことができる弁護士へ相談・依頼することをお勧めします。
ご相談時には戸籍類のご持参は不要ですが,ご依頼時には,故人の除籍謄本とご自身が相続人であることが分かる戸籍が必要になります。
メール相談も随時受け付けています。
亡くなった親の債務を整理する方法を教えて欲しい
亡くなった親(その他被相続人)の債務は各相続人が相続分に応じて承継します。相続債務は相続財産と異なり,遺産分割協議で債務の負担者・負担割合を変更することができません(債権者の同意がある場合を除きます)。
そのため,多重債務状態の方が亡くなられた場合,相続人はその債務を相続分の割合で承継します。相続債務は相続放棄することで免れることができます。また,被相続人の財産の範囲で相続をすることもできます(限定承認)。相続放棄・限定承認をしなかった場合には,承継した債務はご自身の債務となるのでその整理方法は通常の債務整理と同じとなります。
ただし,貸金業者は債務者死亡の場合に保険を掛けている場合があるため相続人に請求が行かない場合があります。
また,実際には過払い状態の場合は相続債務ではなく,相続財産となり,過払金返還請求をすることができます。実際には債務は残っておらず多額の過払い金が発生しているにもかかわらず,債務のみと考えて相続放棄してしまうと,後に過払い金返還請求できなくなるので注意が必要です。
被相続人の債権者から請求を受けたら,内容を確認するため契約書や取引履歴の開示を求めることが重要です。
消滅時効との関係
過払金の消滅時効は,取引終了から10年です(参考:過払金の消滅時効)。
自分の過払金であれば,自分1人だけで全部についての時効中断措置がとることができます。相続した過払金についても,単独相続であれば,単独相続人1人で過払金全部について時効中断措置を取ることができます。
これに対して,被相続人の過払金について,相続人が複数いる場合,法律上は,各相続人が法定相続分の割合で権利を取得しているので,自分の相続分の過払金の時効中断措置しかとることができません。
発生している過払金全部について消滅時効期間の進行を中断するには,相続人全員で中断措置を取るか,過払金を他の共同相続人から譲渡してもらった上で,時効中断措置を取る必要があります(譲渡してもらえば単独相続したのと同じになります)。