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紹介サイト,非営利団体(NPO等)への相談に注意

実体の分からない無資格者の組織への相談は利用しない方が安全

「法律の窓口」(株式会社リーガルビジョン)が事務所支配し,過払金流用

~法律事務所は破産し,預けた過払金は戻ってこない~

2020年6月24日,大々的な広告活動で過払金返還請求等を引き受けていた弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所に破産手続が開始されました。

報道(DIAMOND online 2020/6/26)によれば,事務所を実質的に支配していたのは,弁護士等を紹介するサイト「法律の窓口」を運営していた株式会社リーガルビジョンで,東京ミネルヴァ法律事務所は,広告だけでなく,オフィス,事務員など全面的に同社に依存し,過払金等は同社に流れていたとのことです。

回収し預かった過払金の内,少なくとも30億円は広告会社に流れたとのことですから,過払金を東京ミネルヴァ法律事務所に預けていた人は,過払金を全部が全部戻ってくることはないでしょう。東京ミネルヴァ法律事務所は5月には連絡が取れないという相談が第一東京弁護士会寄寄せられせられており,6月10日に解散していることからすると,ほとんどお金は残っていない可能性が有あり,そうすると過払金はほとんど戻ってこない恐れがあります。

「街角相談所-法律-」(株式会社HIROKEN),紹介先で自社社員が非弁行為

~紹介していた事務所の弁護士費用は,通常の4倍!~

ネット上でここ数年よく見かけるようになった「街角相談所-法律-」(株式会社HIROKEN)は,弁護士・司法書士を紹介すると謳ってネット上で盛んに多重債務者を募っていました。

ところが,「街角相談所-法律-」(株式会社HIROKEN)は,紹介先である「弁護士法人あゆみ共同法律事務所」へ弁護士資格のない社員を派遣しており,その社員が無資格で法律業務に従事していた疑いが強まったとして,大阪地検特捜部が同法律事務所や株式会社HIROKEN等の関係先を家宅捜索しました(2018.9.19報道より)。

サイトには「借金減額シミュレーター」と称するものあり、居住地や借入額などを入力するとあゆみ共同法律事務所などが紹介されるとのこと。

要するに,よい事務所を紹介すると言いながら,自社の社員が無資格で処理する法律事務所を紹介していたということです。

さらに,株式会社HIROKEN側が不正を主導していたとみられるとのことです(2018.9.26報道より)。

株式会社HIROKENは,「街角相談所-法律-」「借金減額シュミレーター」で多重債務者を募り,紹介先の弁護士名義を借りて,同社の社員に無資格で弁護士業務を行わせ,利益を得ていたと疑われます。

2018.12.6,大阪地検特捜部は,弁護士法人あゆみ共同法律事務所の代表弁護士とHIROKENの元役員を弁護士法違反で在宅起訴しました。

HIROKENが「法律相談所-法律」を通じて照会していたこの弁護士事務所の弁護士費用は,通常の4倍に設定されていたとのことです。

弁護士を紹介するサイトもどこかでお金を稼がなければならず,紹介先が紹介料を支払っているか(これも違法です),又は,弁護士名義を借りて自ら非弁行為で利益を得ているおそれがあり,当事務所は,本ページで経営基盤が不明な団体には注意するよう促してきました。

「街角相談所-法律-」についても,経営基盤が不明であり,非弁行為,非弁提携の怪しさがありました。案の定というところでしょうか。

また,「弁護士法人あゆみ共同法律事務所」の代表弁護士は,東京弁護士会の非弁護士取締委員会に所属しているというから驚きです。

「街角相談所-法律-」は大々的に多重債務者を募っており,「弁護士法人あゆみ共同法律事務所」だけではなく,大阪市中央区の司法書士事務所も捜索を受けたとのことですので,徹底的に捜査をして,実態を明らかにして欲しいと思います。

多数の懲戒,逮捕者発生の可能性

弁護士法人あゆみ共同事務所が名義を株式会社HIROKENに貸して,無資格者に法律業務をさせていたのが事実であれば,弁護士は業務停止の懲戒処分を免れません。

報道(2018.9.26)によれば,大阪地検特捜部は,代表を務める女性弁護士らから,弁護士法の疑いで任意に事情を聞いたとのことです。大阪地検特捜部は,女性弁護士らは無資格と知りながら名義を使わせていたとみているとのことです.。今後関係者の刑事訴追が予想されます。

株式会社HIROKENは,「街角相談所-法律-」をかなり広く展開していたため,同社と同様の関係をもっていた弁護士事務所,司法書士事務所は,今回捜索を受けた事務所以外にも多く存在する可能性があります。

今後,この事件は,全国規模の非弁事件に発展する可能性があります。

株式会社HROKENの誘いに乗って「街角相談所-法律-」を通じて事件を紹介してもらっていた,あるいは提携していた弁護士事務所・司法書士事務所は,今,戦々恐々としているのではないでしょうか。

「街角相談所」は,かねてから弁護士法が禁止している無資格者による法律業務(非弁行為),事件の周旋を疑う声が多数ありました。

「街角相談所」は,弁護士・司法書士を紹介すると謳っていますが,紹介する弁護士・司法書士事務所は掲載されておらず,アフィリエイト広告もないため,どこから,どのような名目でお金をもらい,利益を上げているのか不明でした。

しかし,金銭を受け取るとすれば,紹介先の事務所か,紹介した多重債務者のいずれかからしか考えられませんが,無料を謳っている以上,多重債務者から紹介料を受け取ることはできません(受け取れば違法です)。

そうすると,なんらかの形で,紹介先の弁護士・司法書士事務所から金銭を受け取ることになりますが,紹介先の弁護士・司法書士事務所の広告は「街角相談所」のサイトには掲載されていないため,事務所側からもらう金銭を「広告料」とするのは無理があります。

すると,事件を紹介したことに対して紹介料を受け取る方法がありますが,これは事件の周旋であり,弁護士法に違反します。

これ以外に考えられるのは,紹介先の弁護士・司法書士事務所の名義を借りて,無資格で法律業務を行い,直接法律業務の報酬を得るか,紹介先の事務所から名義料又は社員派遣料名目などで報酬を受け取ることです。今回,嫌疑をかけられたのは,まさにこれです。

株式会社HIROKENがかなり手広く「街角相談所」を展開していたことからすると,捜査の展開によっては,業務停止や逮捕される弁護士・司法書士が多く発生する可能性があります。

株式会社HIROKENと非弁提携をしていた弁護士・司法書士事務所の数が多数に上れば,それらが一斉に業務停止の懲戒処分を受けることにより,「街角相談所」を利用した多くの多重債務者に被害が及ぶ恐れがあります。

不十分,不適切な事件処理の可能性

無資格者が法律業務を行う場合,表だった活動ができないため,弁護士が直接扱う場合同等の十分な活動ができません。特に,「街角相談所」が多く募っていた,過払金返還請求事件では,訴訟ができなければ,ほとんど貸金業者の言い値で和解せざるを得なくなります。複雑な争点がある事案では,貸金業者の主張を丸呑みせざるを得なくなるでしょう。

よい弁護士・司法書士を紹介すると謳う「街角相談所」から,弁護士・司法書士事務所を紹介され,非常にレベルの低い解決内容を強いられた方が多数いるのではないかと推測されます。弁護士・司法書士は名義を貸しているだけなので,面談義務など各種の職務上の義務も履行されていないことでしょう。

今後,株式会社HIROKEN,提携していた弁護士・司法書士事務所に対する損害賠償請求事件が多く発生する可能性があります。

紹介サイト,口コミ・ランキング広告への規制がないのが問題

弁護士会も司法書士会も,弁護士・司法書士の広告に一定の規定を設けていますが,紹介サイト,口コミ広告,ランキング広告の利用について直接規制はしていません。

ネットで,「債務整理」「過払金」「離婚」「交通事故」と検索してみると,「おすすめの事務所はここ!」などと謳い,特定の事務所への依頼を誘導する紹介サイト,口コミ・ランキングサイトのリスティング広告が出て行きます。

それらのサイトは,単に,善意で,わざわざリスティング広告費用を自腹で支払って,事務所を紹介しているのでしょうか?

リスティング広告等を出すにはお金がかかります。そのお金をどこからどうやってもらっているのか。素直に考えれば,紹介先の弁護士事務所・司法書士事務所でしょう。

紹介サイト,口コミ広告,ランキング広告は,一見,広告のように見えないので,消費者が事務所選択を誤る恐れがあることに加え,サイト運営する会社は,弁護士法・司法書士法及び所属会の各種職務規定上の制約を受けず,単なる利益追求団体であるため,非弁行為の温床となる危険性があります。

口コミ・ランキングサイトを装って受任を募るのは消費者を欺くのと同じであり,非弁行為を助長するおそれがあるため,弁護士会・司法書士会は,弁護士・司法書士が紹介サイト・口コミ広告・ランキング広告を利用することを禁止すべきです。

実体不明~非営利団体とは名ばかりの不正な利益追求集団であるおそれ

特定非営利活動法人(NPO)などの非営利団体や無資格の個人が運営する組織・会社(非営利団体等)が盛んに無料相談を行う広告を展開しています。これらの非営利団体等については,中には,実際には非営利団体等とは名ばかりで,無料相談を募り,実際には高額の費用を請求する,又は高額の費用を請求する弁護士・司法書士を紹介するなどの例があり多くの専門家がその危険性を指摘しています。

当事務所の相談事例で,非営利団体等に相談したところ弁護士を紹介されその弁護士の費用が非常に高いという相談を受けたという例があります(非営利団体等が弁護士から紹介料をもらっていることが疑われる事案)。また,無資格者が会社を設立して過払金返還請求の依頼を受け,最大50%の高額の報酬を得ていたとして,経営コンサルタント経営者が逮捕され有罪判決を受けています。

平成25年2月20日の報道によると,無資格者が設立した団体から過払い金返還請求業務を請け負った疑いで,弁護士法違反(非弁護士との提携の禁止)容疑で大阪弁護士会所属の弁護士から事情聴取する方針を固めたとのことです。

法律上,弁護士・司法書士以外のものが債務整理・過払金返還請求を扱うことは禁止されていますが,あたかも非営利団体等がみずから介入して交渉・訴訟等をするかのような説明をする非営利団体等があり,その説明内容自体から非弁活動あるいは弁護士との提携活動が疑われます。

債務整理・過払金返還請求の無料相談の宣伝をしている非営利団体等のホームページを閲覧すると,多くは,その設立の目的・基盤・実際に無資格者がどうやって事件を処理していくのか不明です。「借金で苦しんでいる方を助けたい」として活動しているような説明が多く見られますが,富豪でもない限り,多額の広告費を支出し,多数の相談員を配備し,無料で相談をするなどということはできません。また,弁護士・司法書士が介入しないと取立は止まらないので,無資格者の団体がどうやって取立を止めるのか,事件処理の方法が全く不明ということが非常に多く見られます。

経営基盤が不明~どうやって広告費・経費を捻出している?

無資格者が運営する非営利団体等は,法律相談・法律事務の対価を得ると非弁行為(弁護士法違反)として刑事処罰を受けます。そのため建前として報酬を受け取ることはできません。慈善活動として多額の資金を提供するスポンサーがいれば別ですが,そうでなければ何らかの形で,宣伝公告費その他の経費を調達しなければなりません。

非営利団体等でネット広告を多く出している団体がありますが,広告には費用がかかり,特に債務整理・過払金返還請求で検索結果として広告枠の上位に掲示させるネット広告は高額になります。また,事務所の賃料・光熱費・電話代・事務員や相談員の給料など多くの経費が必要になります。これらの無料相談を宣伝している非営利団体等は,全て無料とすると,どうやって経費を調達しているかという疑問が生じます。

考えられる経営基盤として,特定非営利活動法人(NPO)などの非営利団体等が相談を無料で行い,その団体と提携している弁護士・司法書士を相談者に紹介し,紹介した弁護士・司法書士から紹介料をもらい,それを経営基盤としているということが考えられます(その団体が直接処理して報酬を得ていれば犯罪です)。要するに「相談は無料だが他は有料」というからくりです。

あるいは,弁護士・司法書士は名義を貸しているだけで,名義料を受け取り,実際にはNPOが無資格で債務整理を行っていると考えられます。現に,平成26年2月14日の報道によると,ボランティア団体「こくみん救済センター」などの複数の団体名で無資格で債務整理を行っていたNPO法人の代表が所得税法違反で逮捕されました。複数の弁護士から名義をかり,弁護士を紹介するなどと説明するなどしていたが,実際には無資格で債務整理を行っていたとのこと。名義貸していた弁護士については,弁護士法違反の疑いで調べを進めているとのことです。

実際の相談事例で紹介された弁護士の費用設定が非常に高いというものがあります。また,NPOを名乗る団体から過払金返還請求を勧誘する電話を受け,弁護士・司法書士を紹介されたという話は古くからあります。紹介された弁護士・司法書士は紹介料分を費用に上乗せするので費用は高くせざるを得ないでしょう。

弁護士・司法書士は対価を支払って事件の斡旋を受けることは禁止されています。そのような実体不明な団体と提携している弁護士・司法書士の遵法意識はたかが知れているので,適切な事件処理も期待できません。

無免許者の無料診療所で受診しますか?

「医師免許はありませんが無料で診察します」という団体で診察を受ける人はいないでしょう。

「無料診察の結果,適切な医師を紹介します」と言われても,そんな団体から紹介される医師では怖くて受診する気にならないでしょう。

このように,実体・経営基盤の不明な無資格者の団体による相談は,それを診療行為に置き換えて考えると,利用しない方が安全ということがよく分かります。

規制が及ばない~適切な事件処理が保証されないおそれ

弁護士・司法書士は弁護士法・司法書士法,それぞれの職務規程に服しており,それぞれ弁護士会・司法書士会が報酬規制面談義務聴取義務費用説明義務不利益等説明義務過払金返還請求の受任等に関する規制など事件処理について各種の規制をしています。

弁護士・司法書士は違法・不正行為を行えば資格を失うおそれがありますが,無資格者の組織にはそのような規制が及びません。また,非営利団体等が紹介する弁護士・司法書士が遵法意識に高い専門家か甚だ疑問があります。

非営利団体を装った詐欺まで発生

実態不明の非営利団体だけでなく,非営利団体(NPO法人)を装って債務者から過払金をだまし取る事件も発生しています。

平成30年6月28日の報道によると,NPO法人の職員を名乗った男3人が,過払金がある債務者3人に返還請求訴訟を実際に起こさせて,返還された過払金およそ900万円をだまし取った疑いで逮捕されたとのことです。この男らは,債務者とみられる人の名簿を持っていて,警視庁は,同様の手口で、およそ50人の債務者の過払い返還金,あわせておよそ5800万円をだまし取ったとみて調べているとのことです。

突然,電話がかかってきて,過払金が戻ってくるかもしれないなどと勧誘を受けたら要注意です。名簿業者から多重債務者の名簿を買い,片っ端から電話をかけている可能性があります。

まともな弁護士・司法書士は,電話で営業活動などしません。

弁護士・司法書士を紹介する「紹介屋」にも注意

突然,「過払金があるかも知れないので調べた方がいい」という電話を受け,弁護士・司法書士を紹介されたというご相談を受けます。どこからか消費者金融利用者の名簿を入手して手当たり次第に電話をして弁護士・司法書士を紹介する紹介屋がいます。

紹介屋が紹介する弁護士・司法書士は紹介屋と提携している弁護士らですが,おおくは費用が高く設定されています。なぜなら,紹介屋に支払う手数料を上乗せする必要があるからと考えられます。そのような紹介屋と提携している弁護士・司法書士らが,各種法律,職務規程を遵守しているか疑わしく,紹介屋から紹介された弁護士・司法書士へ依頼するのは危険です。

事務所を決めかねたら,弁護士会・司法書士会・法テラスへ

現在,債務整理・過払金返還請求を扱う弁護士・司法書士を見つけるのに苦労はしません。各地の弁護士会・日本司法支援センター(法務省)も無料相談を実施しています。

どうしても,相談する弁護士・司法書士が見つからない,決められない場合には,実体・経営基盤の明らかではない団体に相談するのではなく,各地の弁護士会・司法書士会,日本司法支援センター(法テラス/法務省運営)の法律相談を受ける方が安全です。

 

日本弁護士連合会

日本司法書士連合会

日本司法支援センター(法テラス)