利息充当方式に基づく過払い金元本と返還日までの過払い金利息の回収が可能
主要な貸金業者については,法律上認められる額は全部回収が可能です。
取引の分断など争点が有る場合は,法律上認められる額に争いが生じますが,いずれにせよ法律上認められる額は全部回収が可能です。そのため,主要貸金業者については「法律上認められる額の何割を回収できるか」と考える必要はありません。「この業者は○割が限界」というのはその事務所の和解基準に過ぎません。
実際の返還請求を考えている業者について,利息を含めて全部回収できるか知りたい方は,まずはメール相談をご利用下さい。
過払金利息や充当方法は実質的に争点とならないので,現時点では,主要な貸金業者(※)については,依頼者に最も有利な計算方法(利息充当方式)で算出した過払い金元本額と実際の返還日までの利息の合計額のほぼ全額を回収することができます(争う実益のない少額のカットはあります)
ネット上,貸金業者の経営環境の悪化により「回収率がどんどん下がっている」「回収が難しくなっている」という説明が見られますが,それは貸金業者の提案に応じる対応をしているからであり,当事務所は,訴訟により淡々と回収作業をしているので,回収率は下がっていません。(参考:回収率(返還率)は下がる一方と聞きますが本当ですか)
どのくらい回収できるかは,貸金業者の対応によるというよりも,事務所の姿勢・方針による部分の方が大きいと言えます。(参考:高い回収率を維持できる理由)
なお,ネット上で元本の100%で和解という記述が見られますが,貸金業者に有利な計算方法(無利息方式)の元本を意味することが多く,これは時に多額の債権放棄となるので注意が必要です。
(参考:依頼者に最も有利な計算方法)。
※現時点での回収状況です。今後の裁判例・貸金業者の経営状況により変動する可能性を排除するものではありません。また,下記例と同じ結果が得られることをお約束するものや一定の結果を保証するものではありません(安易に元本以下で和解すると多額の債権放棄となりうることを説明するものです)。回収率は個々の事案の取引内容・争点の有無・依頼者の意向等により変わります。下記例は取引の個数(一連性)に争いがない取引(一連取引)の例です。
【プロミス回収例/取引期間19年の事案】
利息充当方式の元本・利息合計額に対する回収率:99.99%
利息充当方式の元本額に対する回収率:116.30%
無利息方式等の元本額に対する回収率:141.85%
【アコム回収例/取引期間11年,完済の6年後に着手した事案】
利息充当方式の元本・利息合計額に対する回収率:99.80%
利息充当方式の元本額に対する回収率:146.08%
無利息方式等の元本額に対する回収率:150.14%
【アイフル回収例/取引期間11年,完済の2年後に着手した事案】
利息充当方式の元本・利息合計額に対する回収率:100.00%
利息充当方式の元本額に対する回収率:117.83%
無利息方式等の元本額に対する回収率:124.74%
※無利息方式等=無利息方式と利息非充当方式(元本額は同額)
※主要貸金業者の例(五十音順)
アイフル,アコム,アプラス,イオンクレジットサービス,エイワ,エポスカード,
オリエントコーポレーション,クレディセゾン,JCB,CFJ,
シティカードジャパン,
ジャックス,シンキ,しんきんカード,新生カード,新生フィナンシャル(レイク),
セディナ(旧OMC,旧クオーク,旧セントラルファイナンス),
ゼロファースト,ちばぎんJCBカード,ちばぎんDCカード,ビューカード,
プロミス,ポケットカード,三井住友カード,三菱UFJニコス,ライフ(現アイフル)ライフカード,KCカード(楽天),りそなカード,日本保証(旧ロプロ,旧ステーションファイナンス,旧プリーバ),ワイジェイカード etc
「過払金の○○割回収」はその事務所の方針の問題
よくあるご質問で,「他の事務所では元本の”5~7割”と回答されましたが,どれくらい回収できますか」というご質問を受けます。しかし,主要な貸金業者については過払い利息を含めてほぼ全額回収出来るので,利息部分について若干端数をカットをするかどうかという点のみが問題となり,○割~○割の和解をする必要がありません。○割の和解は,訴訟をしないで貸金業者が応じる範囲で和解する場合に出てくる基準です。
要するに,その事務所の方針として,○○割しか回収しようとしないに過ぎません。
実際に,ネット上では現在の回収状況について,訴訟をしない場合は元金の5割~7割,訴訟すると元金の7~10割などと記載している事務所がもあります。しかし,元金を大きく下回る額で解決する必要があるのか疑問であり,また訴訟してもなお元金割れあるいは元金を上限とした解決に止まることにも疑問があります。
注意が必要なのは,訴訟をしない回収の場合に基準となる元本額は無利息方式の元本額を念頭に置いていることが多く,次に述べるように無利息方式の元本額は利息充当方式の元利金額,元本額と比較すると,ときに60%程度にしかなりません。「元本の90%だからよいか」などと安易に和解すると大損する恐れがあります。現在,訴訟をしない回収を中心とする事務所が多く,回収しうる額から大幅な減額で和解することがかなり広く行われていると推測されます。
!主要業者のうち回収が難しいなどとの記述がみられるアイフルからも全額回収は可能です(詳細はこちら)
依頼者を焦らせて低レベルの解決が広く行われている現状
武富士など破綻する貸金業者が出てきているため,「急がないと返還を受けられなくなる!」「破綻したら終わり!」「回収率(返還率)はどんどん低くなっている!」などと過度に依頼者の不安を煽り,大幅減額で早期の和解を依頼者に勧めることが多く行われているようです。日本弁護士連合会は「今すぐ請求しないとあなたの過払金は失われます。」などという広告は見る者を困惑させ又は過度な不安を煽るものとして禁止しています。
倒産した貸金業者が他にあるからといって,実際の対象の貸金業者に破綻するおそれがあることにはなりません。
弁護士・司法書士に企業分析などできるはずがなく,具体的な根拠などなく,「今の世の中,大企業だって倒産する可能性が無いとは言えない」という素人が抽象的に抱く不安に過ぎません。
不思議なのは,主要貸金業者に倒産のリスクがあるなどと騒いでいるのは,大幅減額回収を勧める弁護士・司法書士ぐらいということです。
最近は,弁護士・司法書士と貸金業者との「過払い金減額裏協定」問題まで発生しました。
(参考:過払い金減額裏協定問題)
例えば,現在でも当事務所が判決を得てその100%の回収ができているアイフルを挙げると,アイフルによれば平成23年度にアイフルが返還した過払金の全体の返還率は,無利息計算の元本額の49.8%とのことです。これは当事務所のように利息を含めて100%回収をしている事務所を含めた数字です。つまり,アイフルについては非常に多くの事務所が,半分以下の金額での和解しているということです。他の主要な貸金業者にいてもネット上では,利息を含めた100%の回収が比較的容易な大手貸金業者についても元本の70~90%が目安などと当たり前のように説明されいる例が見られます。
事務所毎に考え方の違いはありますが,このように本人が請求した場合のような低レベルの回収が広く行われている理由の1つとして,効率性の重視(薄利多売)が挙げられます(これは,時間と労力をかけて1件100%の回収をするより,短期間・低労力で10件60%で回収した方が事務所の利益は大きいというものです)。
当事務所では,回収率にこだわり1件1件時間と労力をかけた回収作業をするため,主要な貸金業者について回収率を維持しています。
(参考:回収率(返還率)は下がる一方と聞きますが本当ですか?)
(参考:大きい事務所間の解決レベルの差)
何を100%と捉えて回収するかが非常に重要
下表は実際の事案について,各計算方式・請求対象・利息の基準日ごとの金額を比較したものです。貸金業者が自ら計算してくる額は無利息方式の額(7の額)ですが,この額での回収をもって「100%」とすると,実際には本来回収可能な額の60%程度となります。訴訟をしない場合,多くの貸金業者は無利息方式(7の額)以下での和解しか応じなくなっています。「元本の○割」という元本ベースで回収する事務所はこの7の元本額を基準にしている場合が多く見られます。
その事務所が何を100%と捉えているかは解決結果に重大な影響を及ぼすことになります。下記6,7の額を100%として説明している例が見られるので注意が必要です。
当事務所は,下表1の額を100%と捉え,積極的な訴訟による回収を行っています(下の例では329万円を回収しています)。
計算方式 | 請求対象 | 利息の基準日 | 計算金額 | 1の額を100%とし た場合の比較 |
|
1 | 利息充当方式 | 元本・利息 | 返還日 | 3,292,370円 | 100 |
2 | 利息非充当方式 | 元本・利息 | 返還日 | 3,040,164円 | 92.3 |
3 | 利息充当方式 | 元本・利息 | 最終取引日 | 2,610,392円 | 79.3 |
4 | 利息非充当方式 | 元本・利息 | 最終取引日 | 2,493,387円 | 75.7 |
5 | 利息充当方式 | 元本 | - | 2,442,808円 | 74.2 |
6 | 利息非充当方式 | 元本 | - | 1,957,562円 | 59.5 |
7 | 無利息方式 | 元本 | - | 1,957,562円 | 59.5 |
取引毎に計算した額
過払い金は取引毎に計算するため,1つの取引として評価できる取引は1つとして計算した額(一連計算),明らかに複数に分かれる場合はそれぞれ計算して合算した額になります(個別計算)。明らかに複数とは言えないが判決では複数とされるリスクがある場合には,個別計算よりも多く,一連計算よりも少ない額で解決する場合もあります。
推定計算で金額を膨らました額
取引履歴の開示が不完全で,推定計算により開示履歴の範囲の金額よりも多く回収することができる場合があります。推定計算で回収が可能な貸金業者で主なところは,三菱UFJニコス(旧日本信販等)・クレディセゾン・エポスカード(丸井)・オリエントコーポレーション・新生フィナンシャル(レイク)などです)。古い資料がない場合は履歴の範囲での回収に止まる場合があります。
推定計算は行わないことを方針とする事務所もあるので推定計算の対象となる取引の可能性がある場合は,方針を確認することをお勧めします。
回収が難しい業者
他方,すでに廃業している貸金業者や強制執行可能財産を把握できない貸金業者などの場合,判決を得てそのまま支払を得られなくなるリスクがあり,上記の回収ができない場合があります。
当事務所の実例紹介
当事務所での実例は,「利息充当方式」の項目に記載されている「実例紹介」を御覧下さい。
実例紹介では,計算上の金額と回収した金額(回収率)を記してあります。
なお,ネット上の実例紹介で「Aさんは50万円回収」などと紹介されている例を見ますが,実績は,請求できる計算上の額とそれに対して実際に回収した額(回収率)で示されるべきであり,単に「○○万円回収した」という紹介は実績紹介としてあまり意味がありません(100万円の過払金について50万円で回収したのか,50万円の過払金について50万円回収したのかにより,実績の評価が全く変わります)。
また,その事務所が扱った件数と回収総額が挙げられている例を見ますが,レベルの低い回収でき大量に処理すれば回収総額は多額となるので,これらは個々の依頼者にとってはあまり関係のない数字です。依頼者にとって重要なのは,最も有利に計算した額とこれに対して何%回収したかという回収率となるのです。
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回収率とは,裁判で認められ,又は裁判で認められ得る過払金元本・過払金利息の額に対する実際の回収額の占める割合です。請求した額が裁判で認められる率(勝訴率)ではありません。
請求した額が認められるか否かは争点の有無・内容により異なります。
詳しくは和解基準をご覧下さい。